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フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

夜が来ると抜け出したくなる

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夜は部屋の中でじっ…としていて、写真を編集したり、ネットを眺めたり、映画を見たり、何もしていなかったりするのだけど、時々体は部屋の中にあるまま、心は外へ出て遠くの場所まで飛んでいくことがある。

きっとどこか別の場所へ行きたいのだろう。今日も明日も同じような日々の繰り返し。それがただ終わりなく続く毎日のように思えて、一日の時間がただ延々と続く長い時のように思えて、そんな毎日から抜け出したくなるのです。

生まれ育った場所とは別の場所、今暮らしている場所とは別の場所に移り住んで、新しい空気を吸って、新しい街を歩いて、新しい人と出会うことで、全く新しい自分になりたいと思ったことはありませんか。

体中の血を入れ替えるように、別の場所で別の自分に。夜になって一人落ち着くと、別の場所で生まれ変わりたい気持ちがふつふつと高まってくるのは、もしかしたらどこかから呼ばれているのかもしれません。

或いはそう錯覚したい自分がいる。幾つになっても新しい気持ちで居たいから、ひとつの場所には長い時間いられない。数年ごと、気持ちが入れ替わる度に行きたい場所へ移り住めたら。そんな身軽な生き方が出来たら。

人との関係は残らないかもしれないけど、心のままに生きてきた足跡が残る。一瞬で目の前から消えてしまう。そんな写真を撮れるかもしれない。

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夜はひとり部屋の中で、次の朝に行きたい場所のことを考えられたら。次の日に会いたい人のことを考えられたら。次に目にしたい風景をイメージ出来たら。そうして何日か経った後の夜には、新しい物語を綴れたら。

フィルムに焼きつけるように、心に焼き付けた様々な旅の思い出を浮かび上がらせるように暮らしていけたら。いやあ、夢ですね。

じっとしていられない夜がある。でもじっとしておきたい夜がある。どこまでも一人で、本当は一人で過ごしたくない夜がある。誰かと一緒がいいけど、誰でもいい訳じゃない。

一瞬で満足するかもしれないし、数時間でいいのかもしれないし、一晩中がいいのかもしれない。朝が来る前にお別れをしたいのかもしれない。

ご飯を食べて、お風呂に入って、布団に入って眠る前に。明日に備えて気持ちを切り替えるその前に、もう少しこの夜に浸っていたい。次の朝が来るのが海から浮かび上がるイメージなら、夜に浸るのは深い海の底に沈んでいくイメージ。落ちていくイメージ。一人で、誰かと一緒に。

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夜が来ると抜け出したくなる。迫ってくる夜の深みから逃げ出したくなる。部屋から、街から、国から、この世界から逃げ出したい気持ちが、夢に変わるのかもしれません。

抜け出した先の場所で、誰かと、何人もの仲間と未来の自分が待っているかもしれない。どこまで行っても同じ夜なら、いっそ夜に迷ってしまおう。財布と携帯とカメラを持って夜の街へ行こう。今から会える誰かに連絡をして、一緒に夜道を歩こう。

行ったことの無い場所へ行ってみよう。曲がったことの無い道を曲がってみよう。元の場所へは戻ってこれないかもしれない。二人は途中で別れてしまうかもしれない。お金は無くても、着いて来てくれる人がいて、明日が来なくていいなら、行き着いた先で眠ってしまおう。

途中で何を話したのか、服を脱いだのかシャワーを浴びたのかも分からないまま、確かにシャッターを切ったカメラには、どんな夜の風景が写っているだろう。