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フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

名前のない街を歩く

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名前のない、どこでもない街を歩く。遠出をする時は観光名所もいいけど、その街に住む人が生活に使う道を歩くのが好きだ。名前のない街は大きな駅から何駅も離れた場所にあったり、長い時間歩いて偶然見つけたりする。

どこかで見た風景

名前のない街には、名前のない人達が住んでいる。初めて訪れる街なのに、どこかで見たようなおじさんが薄着で歩いている。どこかで見たような学生が自転車で走り去っていく。どこかで見たようなおばさんがスーパーで買い物をしている。どこかで見たような男女が駅へと向かう。

似たような家が沢山並び、似たようなマンションから出てくる大人や子供は皆同じ顔をしている。似たような電車が線路を走り、似たような車で道路は埋まる。皆一斉に同じものを買い、人気の店にぞろぞろと並ぶ。一人一人は同じ方向を見ながら、どこかで見たような四角い画面を手に持っている。

混ざり合う人々

空からは陽の光が差し、どこかの方向に山がある。海や川が近い街では、風の中に微かな水分が混ざっている。人の多い場所では、隣り合う人と人が混ざり合っている。男と女も、老人と若い女性も、公務員も会社員もパートもニートも好きでも嫌いでも混ざり合っている。どこかへ行きたい人もどこにも行けない人も、今日外国から帰ってきたばかりの人も、名前のない街に暮らし、夜はぐっすりと眠っている。

平等にあるのは命と時間と、名前のない街に住む権利。皆と違う顔をして電車に乗ったり、皆と違う方向に歩いていくことは許されていない。やってはいけないことをやったり、飼ってはいけない猫を飼ってしまうと、名前のない街には居られなくなる。名前が付いてしまうからだ。

名前のない街

名前のない街にはルールがある。ひとつは静かに暮らすこと。もうひとつは列を乱さないこと。混ざり合わない大人には終わりが待っている。