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フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

仕事を終えた後、一日の第二幕が始まる

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仕事を終えた後、一日の第二幕が始まる。
朝が来るまでたっぷりと時間のある日も、すぐ寝ないと体がもたない日も、これで悔やむことなく一日を終えられる。そう思えるまで動いていたい。

一日の中で、出来るだけ多くの事をしたいのです。
我慢は必要な分だけでいい。あとの時間は全て楽しみで埋め尽くしたい。よし、今日はここまで。って力を出し切った後に眠りたい。

夜更かしを覚えた10代の頃、部屋で眠ったふりをして、家がシーンとなったら明かりを点けて、テレビやゲーム機やラジオのスイッチを入れて、起きられる時間まで起きていました。
次の朝のことなんて考えてなくて、夜の楽しい時間を1秒でも多く味わいたくて、夜通しずっと遊んでいたのです。

次の朝起きると、準備をして学校へ行かなくてはならない。
それは自分にとっての自由ではなくて、でも本当に学校に行かなくていいのか。完全に必要無いかと言われるとそんなこともなくて。

学校にいる時間があるから、休み時間や放課後に本を読んだり、空想をしたり、今日は帰って何をしようかと考えたりする時間もあって、ある程度の縛りがあったから家に帰った後の時間を充分に楽しめていたのです。

それは仕事を始めた今も同じなのかもしれません。ある程度の不自由さがあるから、残った時間にやりたいことを詰め込められる。

だから第二幕は好きなことだけをしていたい。第一幕の間にイメージを固めた夢の中の自分、理想の過ごし方を再現している自分でありたい。

どこににも行かずに一日が終わるなんて事は許されない。どこかへ出かける予定は無くても、部屋が大好きでも、一日の第二幕では気持ちがどこかへ飛んでいって、行きたい場所へ行って、会いたい人に会いたくなる。

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第二幕の中では、心に描いた物語の中を旅しているのと同じなのです。家に帰ってお風呂に入って、眠りについて夢を見る前に、もうひとつの夢を見る。

頭と体は起きたまま、今とは別の場所に想いを馳せる。時間を超えて別の世界へ。こうだったかもしれない未来。こうしておけばよかった過去。知らない誰かの部屋。

仕事に疲れて帰ってくるのが第一幕の終わりなら、第二幕の終わりは遊び疲れて眠りにつこう。誰ともいなくても、部屋に一人でも。夜の街に佇んでいたあの子も、どこにも行く宛が無かったのかもしれない。

月が静かにこちらを見ている。街は夜に沈んでいきます。散々歩き回った後、車のエンジンをかけてまたどこかへ行く。

どこも開いていないのに。集まる場所なんて無いのに。誰もいなくなった街から、海の見える郊外へ向かって車を走らせよう。

海辺には、大きな月の欠片が漂着していました。朝はもうすぐやってくるようでした。風の音が聞こえて、耳元を足早に過ぎていくのでした。

まだ光は見たくない。目を閉じると、懐かしい風景が浮かんでくる。それはもう帰ることのない故郷の、夜の終わりの空でした。

車の中では音楽が流れて、街で見かけたあの子が助手席で寝ていました。寝顔をそのまま写真に収めておけば良かったのかもしれない。もうすぐ朝が来る。