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フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

部屋の中にひとり、画面に向かう。窓の向こうの空を眺める。

フィルム写真 写真日記

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部屋の中にひとり、画面に向かっている。
机の上にはコンピューターが一台、ネットに繋がれている。
机と椅子とコンピューターと僕。他には何もない。

いつも画面に向かっている。
画面に向かってない時は本を読んでいた。本を読んでない時は映画を見ていた。
映画を見てない時は窓の外を見ていた。

でも今は本がない。画面はある。映画はない。
部屋の中には窓がある。

コンピューターの電源を入れると、世界中の様々な事柄を覗くことが出来る。
でも僕たちはコンピューターに触れる多くの時間を、決まったネット上の場所へ訪れる為だけに使っていた。
意味があったのかどうかはわからない。

 

本は外の世界を教えてくれた。映画も外の世界への道標だった。
窓の外には風景が広がっていた。コンピューターの画面には何が映っていたのだろう。
今では思い出せないものばかりだった。

外へ出かけたいのだった。行く宛はない。
ただ靴を履いてドアを開けて街へ出れば、体と心が自然と動いて、どこかへ連れて行ってくれる。そんな気がした。
新しい風景を目にするかもしれない。どこかで誰かと出会うのかもしれない。

でも部屋の中に靴はなかった。ドアもなかった。窓はある。
でもここは一階ではなかった。外へ出たかった。
仕方がないのでコンピューターの画面を眺めていた。

コンピューターの画面からしばらく離れると、やはり何を眺めていたのか思い出せないのだった。
心の中には何も残っていなかった。

 

本で読んだことは覚えているのに、映画で感動したことは忘れもしないのに、コンピューターの画面の向こうからは何も語りかけてこなかった。
僕からも何も語ろうとはしなかった。

窓から見える景色を残しておきたかった。夕暮れの時間の空の色が特に好きだった。
空だって何も語りかけてはこないのに、窓の外の風景を見ていると、ふと向こう側へ行ってみたくなった。

そう。画面の向こうへは行けないけど、窓の向こうへは行けるのだ。
人は外へ出て、空を眺めていられるはずなのだ。

 

いつも撮影をお願いしている被写体さんから電話がかかってきた。電話?

被写体さん「今なにしてるの」「おなかすいた」

電話越しに声を聞いたその瞬間、画面が消えた。外へ飛び出す時だった。

お題「最近見た夢」