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フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

新生活の始まりにカメラを買おう。今の気持ちを写真に残しておこう。

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新生活の始まりに、カメラを買って写真を撮ろう。
昨日まで知らなかった新しい道を通って、新生活、新学期は始まります。
住み慣れた街から引っ越して、段ボールから開けてない荷物は部屋に転がったまま。

新しい部屋の匂いと、どこかから聞こえてくる子供達の遊ぶ声、初めて挨拶をした近所の人、窓の向こうの、まだ知らない街の景色。

目にするもの、耳にするもの、肌で感じる風の全てが真新しくて、ひと月前とは違う自分に生まれ変わったよう。
ひとりはとても寂しくて、夜になると家族や地元の友達の声を聞きたくなって、涙をごまかすためにテレビをつけたり、ネットの動画をずっと見たりする。
そこに映るのは他人でも、ただ人の姿があるだけで、人の声がするだけで心は落ち着くことを知るのです。

ふと、ラジオをどこにしまったっけ、と考える。
荷造りしたテープを剥がしていない段ボールを開けて探し始める。
高校の頃は毎晩のように聞いていた、あの古いラジオを。

寂しい夜に、心に浮かぶ誰かの顔はいつも決まっていて、
当たり前のように毎日顔を合わせていたあの人のこと。
隣にいるのが心地よくて、一日の内で一番長く肩を合わせていた、あの人のこと。
想いを全部伝えきれなくて、楽しいことと後悔の両方が残ってしまった。

明日からはこの街で、新しい自分が始まります。
人には馴染めるだろうか。新しい環境には慣れるだろうか。
ひとりでいいとは思わないけど、もし長い間ひとりぼっちだったら、
どこかに私の帰る場所はあるだろうか。

期待と不安と、楽しさとほんの少しの心細さ。
大切な場所に、大切なものを置いてきてしまった気がして、きっとそれは本当のことで。
1年前は何気なく聴いていた曲が、今は心にじわりと染み渡る。
新しい街で、新しい生活を始める人は、ほろ苦さを含んでいました。

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変わったことを知りたくて、変わらないものを忘れないように、人は写真を撮ります。
今日の気持ちで見た風景を、光を、風を記録するように。

今は鮮やかに思い出せる住み慣れた街のことも、新しい生活と新しい街に慣れた時、まだ見慣れない街に心地良さを覚えるようになった時に、いつの間にか薄れてしまうのです。

だから、今この心にある心細さや寂しい気持ちを、写真に記録しておこう。
今まで暮らしてきた場所への思いと、新しい場所への思いが交わっている今日を覚えておきたいから。

一番初めにシャッターを切ったのは、部屋の窓から入ってきた光。
二番目に写したものは、散歩した道に吹いた風でした。

お題「新生活」