フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

山あいに夕日は沈んで、僕達は家路につく

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山あいに夕日は沈んで、僕達は家路につく。
ランドセルを背負って見上げた、空の向こうの夕暮れも、自転車を漕ぎながら背中に感じた夕焼けも、車のフロントガラス越しに眺めた青とオレンジ色の空も、いつも同じ色をしていた。

それは、今日が終わる色だった。

もうすぐ夜が来るから、もうどこにも行けない色だった。
おやすみ、さようならと言っている色だった。
まだまだ夜は続くのに。
扉を開ければ、どこへだって自由に行けるのに。

学校から帰るけど、習い事から帰るけど、仕事から帰るけど、友達とたくさん遊んで帰るけど、暗くなるまでひとりで遊んで家に帰るけど、
このまま、まだまだどこかへ行きたい。

夜ご飯の匂いのする家は恋しいけど、まだまだ元気が残っているから、
好奇心が余っているから、いつもは開けないドアをもう一度開けて、
家路へと歩く足を止めて、自転車や車のハンドルを逆へ回して、
どこか知らない、行ったことのない街へ行ってみたい。

そう思ったことはありませんか。

見たことのない知らない街では、会ったことのない人達が歩いている。
同じ世界の空気を吸っている筈なのに、皆似たような形で生まれてきた筈なのに、
何もかもがひとつも合わないパーツの人達がそこにはいる。
言葉も通じないかもしれない。言葉は通じても、心はきっと通じない。

あの山の向こう、夕日の沈む先は、そんな場所かもしれない。
人の足の踏み入れたことのない、秘密基地があるかもしれない。

知らない別の場所で、別の何かになりたかったとかではなくて、
ただ家に帰って宿題をしたくなかっただけ。
明日のことを考えずに、いつまでも遊んでいたかった。
きっとそういう理由なのです。

山あいに沈む夕日に、僕達の今日は閉じ込められていた。
そんな日をもう一日だって過ごさないために、
明日はもっと自由な日だといい。