フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

満島ひかり・MONDO GROSSO『ラビリンス』香港を舞台に、旅の一夜の夢を見る。

曲の始まり、何層にも重なる建物の中心に現れた女性は、曲の終わりと共に光の中へ消えていく。

静かだった呼吸がいつの間にか速くなるMONDO GROSSOのサウンドと、満島ひかりの唄声とダンスが見るものを湿度ある香港の夜に誘います。

一曲の中に時間と空間、浮遊感がある

音楽は、再生ボタンを押した瞬間から終わりに向かって走り始める。どんなに長い曲もいつかは終わる。

一曲という始まりから終わりまでの時間を、僕たちはイヤホン越しに耳で聴いたり、走っている車の中で流したり、自宅やライブハウス、クラブやホールで目を閉じて肌に感じたりする。

MONDO GROSSO名義の曲と、大沢伸一名義の曲があって、個人的には大沢伸一の曲をよく聴いていました。アルバム『Next Wave』に収録されている『SHININ’ Vocals by Kj』と『光 Vocals by UA』の2曲は今でも繰り返し聴いています。

同じフレーズの重なりによってより深い場所へとトリップしていく『SHININ’』と、UAの突き抜ける唄声に一気に世界が開ける『光』。

『ラビリンス』を聴いて感じたのは前述の2曲に共通してあった時間と空間への誘いと、MONDO GROSSO=大沢伸一の楽曲の持つ不思議な浮遊感でした。

いつか見たような、夢の中の風景

時間を現代に戻して、今よりも少し先を見ているような気もするし、少し昔の風景を見せられているような気持ちにもなる映像。

一曲という時間と、夜の香港という空間を駆け抜けていく満島ひかりのダンス。見続けるを止めて、まばたきをすると目の前から消えてしまいそうなその姿。

同じく両方の耳で捉えてないと消え入りそうな唄声は、満月よりも細くなって浮かぶ月のよう。

行ったことのない場所で、見たことのない光景を目にしているのに、懐かしさを覚えるのはなぜだろう。

終わって欲しくない夜、冒険をしたくなる場所で、儚く消え入りそうな女性が唄い踊る。

そうか、これは子供の頃から今までのどこかで見た夢の光景、いつか行きたかった場所、体験したかった旅の一夜なのではないか。

地続きの夜に彷徨う『ラビリンス』

香港の夜は、日本からだと距離的には離れているけど、同じアジアの夜として心の中では地続きの場所にあるから、イメージすることも夢に見ることも本当は可能なのかもしれません。

実際に足を運ぶことも出来るかもしれません。一曲の間に見られる夢は一瞬かもしれないけど、たとえ一瞬だとしても見た夢を忘れないでしょう。

『ラビリンス』のラスト、満島ひかりの消え行く姿に、旅の一夜の夢を見る。誰の記憶の中にも終わって欲しくない夜がある。

MONDO GROSSOの曲に感じる浮遊感は、旅の始まりと終わりの間に流れる気持ちに似ているのでした。

ラビリンス

ラビリンス