フィルム写真と旅する

地方に暮らす写真好きの日常

14歳の私へ

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誰もやらないし、誰も作ってないから、今欲しいものを作ろう。こういうのがあったらいいなと思っていた場所を自分で作ろう。長年溜まっていた想いを吐き出すように。

中学生の頃、人の減り始めた放課後の教室。運動場の見える席。14歳の今があった。毎日当たり前のように顔を合わせるクラスメイト達がいた。カーテンが風に揺れるあの時、あの瞬間。

カメラを持っていれば良かった。撮らなくて良かったとも思う。戻らない時間を切り取っておけるのは写真の醍醐味です。心があの頃の空気を忘れないのは写真に残さなかったから。いつも、いつまでも思い出す。

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手に入れたい現実を夢と呼ぶなら、二度と戻れない現実もまた夢です。夕方の街に流れるサイレン。空と雲の間を飛ぶ鳥。家へと続く真っ直ぐの道。どこかの家庭の夜ご飯の匂い。

子供の頃には戻れないけど、あの日々、あの時にあった風景や匂いは今でもどこかに残っています。体験してきた僕たちの体の中に、懐かしさという形で一本の線が通っています。過去を思い出すように写真を撮って、また未来を作るように写真を撮ります。

大人になって、カメラを持ってどこへだって行けるようになったから。お金や自由はあっても二度と戻れない時間の旅へ。探し求めた先の場所に、街のどこかに、光の差す窓の側に。求めている思い出の一部が落ちているかもしれません。

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写真は時間を残す為の装置。フィルムは空気を形に置き換える。シャッターを切る瞬間、僕たちはもう戻れない一瞬の時を形に換えてます。10年経って、100年経って撮った写真は色褪せても、生きた時間の証は永遠に色褪せることなく、記憶の中で輝きを放ち続けます。

14歳の頃の自分に会いたくて、話しかけられなかったあの子に会いたくて。現実にならなくても、写真という夢の中で時々思い出せるなら。あの頃の教室に流れていた特別な空気を記録しておけるなら。

今を残して未来へ進む為の場所を作りたい。誰も知らない秘密基地のような場所です。現実の中にあって、夢の世界へ向けて浮かび上がるような、そんな空間がいいなあ。

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