安藤写真事務所

地方に暮らす写真好きの日常

前進、全身

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これまで続けてきた事が時間を置いて繋がって、段階を踏んで広がっています。

目の前の扉をひとつずつ開けていく感覚。扉を開けた先には真っ白な光。眩しい光。いつか手に入れると心に決めていた夢の数々。

いつかはいつまでも来ないんじゃないかと思っていました。でも今、確かに僕の目の前にそれはある。子供の頃、学生の頃、社会人になり立ての頃に夢見たあの光。

始まりはとても小さな一歩から。何をするにしても、取っ掛かりを見つけて、手にとって、これは何だろうと動かしてみる所から。

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これまでにやってきた事、今手にしているもの。自由と引き換えに置いてきたもの。手放したもの。旅の記憶を呼び覚ますように、ひとつひとつ思い出してみる。

確かなものの少ない世界になっています。自分は今を生きて呼吸をしているという事と、大切な人が隣にいる(または居ない)という事以外、はっきりした事なんて存在しないのではないだろうか。

今日掴んだと感じていた手応えも明日には消えていて、手に入れたと思っていた形あるものも、次の瞬間にはきれいに消えています。

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季節は移ろい、人の気持ちも移ろい、自然は代謝を繰り返し、人の作ったものはやがて朽ちていく。

手を前に伸ばしても、手をポケットに収めても、宝物を隠していても。いつも肌身離さず持ち歩いていても、ふとした瞬間にフッと消えてしまう。

そのような事が日常の中で頻繁に起こる時代に、私たちは生きています。

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確かなものを形に残したくて、写真を撮っています。

時には露のような気持ちの流れを、季節の移ろいを、人の心の移り変わりを残したくてシャッターを切る時もあります。

言葉では説明できない、変換できない。いつまでも掴めない思いを残したくて、今日この瞬間に目にしたものを残したくて。

写真に残した情景は、後で必ず物語になります。好きな音楽を聴いている間のような感覚を持ったまま、ファインダーに光を捉え、シャッターを切っています。

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目には見えないけど、手には掴めないけど、今確かにひとつ感じていることは、人は心のどこかでいつも確かなものを求めているということ。

そして確かなものと同じくらい、不確かなものを欲しているということ。

自分の中にある気持ちに気づきたくて、心の奥にしまい込んだ気持ちに再開したくて。人は音楽を聴いたり、映画を観たり、芸術に触れたり、外へ出かけたり、部屋で過ごしたりする。

人に出会って、一人で過ごして、心の鍵を開けたり閉めたり、進んだり進まなかったりしながら、繰り返しを味わうように日々を生きている。そう感じています。

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小さな場所から一人で始めた事だけど、小さな規模では決して終わらせない。そうですよね。

初めはどうするかも分からず、結果がどうなるかも考えず。真っ暗な洞穴の中を手探りで始めたことが今、長く続ける事で成長しています。

沢山作って残しましょう。形あるものを。不確かなものを。

日々過ぎていく時間の一粒一粒を見落とさず、見逃さずに。

零さないように、掬い上げていくように。

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model : yun

 

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